貸出による金融取引にはいくつかの「難しさ」があります。
お金の貸し借りによって、様々な道が生まれます。例えば住宅ローンを利用できれば、今の所得と貯蓄では建てられない家も建てることができ、快適な生活空間を確保できます。
しかし、お金を貸す金融機関は、それが失敗すると責任を取る必要があり、適正に金融取引をおこなうのは、そう簡単ではありません。
4つの金融取引の難しさ
私たちが、自分の資金を企業や資金需要者に簡単に貸せるかどうか?と考えたとき、おそらく「安易に貸せない」という答えになる方が多いでしょう。
金融機関も同じ考えです。たとえ資金があっても次のような理由で、簡単にお金を貸すことができないのです。
取引費用の高さ
取引費用とは、お金を貸す相手先探し、交渉時間といった手間と時間を指します。
お金を借りたい企業が銀行に相談をした場合、銀行はあらゆる作業と時間を要して、適正な融資ができるか?をチェックします。
お金を借りたい企業は「希望要件」をもっています。借りたい金額、金利、返済期間、担保の有無等、希望の条件を銀行に提案します。
銀行はその希望条件をどこまで受け入れられるか?を審査します。1つでも条件が一致しないと、取引は成立しないかもしれません。
例えば、融資希望する企業が1億円借りたい場合、銀行が審査した結果、1000万円しか貸せないとなった場合、それだけで、契約は不成立となるでしょう。
しかし、取引費用がかかっている銀行は、プラスマイナス0ではなく、利益を生まず経費が増大したことになります。
将来のことがわからない、不確実性
仮に、無事融資契約が成立したとしても、返済期間中は何が起こるかわかりません。
ビジネスにおいても、生活においても予想できなかった事態が起こるのは、避けることができません。
貸し手である金融機関は、借り手が返済できなくなる信用リスク、返済が目減りする価格変動リスクにもさらされます。
また貸し手側のリスクもあります。貸し手側が不慮の事項にあり資金が不足した場合、貸している資金がすぐに回収できれば、経営の危機をしのげる状況であっても、借り手側がすぐに返済できなければ、貸し手側が倒産することも考えられます。
地球上のすべてにおいて不確実性はあるので、この話をすると元も子もないともいえますが、金融取引による不確実性はできる限り取り除かれることが重要で、難しさがあるため、スムーズな取引を妨げる要因となります。
相手のことがわからない情報の非対称性
企業にお金を貸すとき、経営者の人柄や経歴、企業の実績、技術、資金使途、期待される成果等、これらの情報は1つでも多く取得する必要があります。
しかし、貸し手が持てる借り手の情報が基本的に少ない。また、多くの情報が持てても、裏にハイリスクのある情報が隠されていれば、気づくことができないこともある。
契約前は品質の高い企業であったにもかかわらず、契約事後に資金の使い方が変化するような、モラルハザードがあれば、金融機関の危険度は一瞬にして高まってしまいます。
契約の不完備性
金融取引には契約書を作成るため、不慮の事故や自然災害においての取り決めを定めておくことができる。
例えば、台風で工場が被害を受けた場合、返済の猶予や減額等を想定して契約書に記載することはできる。
それらを事前に両社が納得して契約できれば、貸し手側もある程度の許容範囲で対処できる想定ができるので、安心感はある。
しかし、あらゆる不慮の事態を想定して完備された契約書を結ぶことは不可能である。
金融取引において、契約書が不完備になることは不可避である。契約書の最後には「契約書にない事項についてはお互いが誠意をもって対処する」と書かれている場合が多いが、まさにそれが起こる可能性があることを秘めている。
銀行中心の金融取引きからの脱却
そもそも銀行はその規模感や経済性等で高い優位性を持っている。なので、情報生産ができ、借り手側からすると金融仲介業としての期待感が高まる。
しかし、その銀行は限りなくリスクを排除する必要性が高く、簡単に貸し出しができない状況となっている。
そうなれば、資金循環はうまくいかなくなり、社会経済にも影響を与えてしまいます。
それを変えようとしているのが、インターネットの存在です。インターネットを利用すれば、銀行に頼らなくても低コストで貸し手、あるいは借り手も簡単に見つけられます。
インターネットがあることによって、銀行が取引するために必要とされた固定設備、人員は大きく削減できる。また専門的な書類作成は、PCソフトで作成できるようになり、それを受け渡しするのもインターネットが利用できる。
また、与信についてはAIの利用により、短時間で信頼性の高い情報を得ておこなえるため、いままでよりリスクが低減されはじめている。
これらのことで、金融再編が起こっており、フィンテック進展し銀行頼みの資金調達からの脱却はすでに始まっています。
参考 ・FinTech(フィンテック)とは何ですか?|日本銀行