銀行融資では様々な担保物権が設定されます。銀行は担保を設定することで、債務不履行があった際に、代替え金として得られる権利を確定させています。
この記事では銀行や他の業界が融資における質権を利用する場合について、詳しく解説します。
質権とは
質権とは、債権者の債権を担保するために、債務者または第三者から物を受け取って占有し、債務が弁済されなかったときにはその物を売却して、その売却価額から債権の弁済を受けることができるという担保物権のことである。
質権の対象となるものは、動産、不動産、債権などの権利である。動産質は、自動車や宝石などの動産を質入れするものであり、不動産質は、土地や建物などの不動産を質入れするものである。債権質は、貸金債権や債務証書などの債権を質入れするものである。
質屋は質権設定契約です
質権を扱うところですぐ思い浮かぶのは、「質屋」。質屋は質権設定契約で成立します(民法第344条)
質屋は個人の方が手軽に借入したいときによく利用されます。生活の身の回りのものを担保にでき、金融に関する個人信用情報の照会といった審査もありません。
万が一、期日に返済できなくても担保が質流れになり、返済の代わりをしてくれます。
利息があってもすべて担保物件で帳消しになるので、心配ありません。
考え方によっては、ヤフオクやメルカリのような「売りたいものを売る」のと同じなので、どうしても手放したくないもの以外なら、質流れになっても売却したと考えれば、そう気を使うこともないでしょう。
不動産会社では質権設定契約は利用されているのか?
また、質権の担保物件は不動産も含まれるため、不動産用語としても使われることがあります。
不動産業界では、不動産質権という担保があります。不動産質権は担保物件である不動産を支配し使用収益を得るという性質もあります。
銀行融資で質権担保が利用されるシーンとは?
そして、銀行でも質権設定契約で融資することもあります。銀行の場合は、質権設定する契約は限られています。
まず、管理が容易であることを優先しているので、金融機関である銀行は、預金などの指名債権や、有価証券などに限られています。
そして、質権設定者にとって質入れしても日常営業に支障をきたさないようなものを基本としています。
よって、不動産質権のような占有して収益を得たり、または、営業用動産的なものは不適当とされています。
銀行が住宅ローンで担保を取るとき
銀行の不動産関連の融資といえば住宅ローンです。住宅ローンは多くの方が利用していますが、このとき担保として不動産をとるときは抵当権を設定します。
抵当権の場合は、債権者から占有されることがありません。
例えばマイホーム購入のため融資を受ける際、銀行はその家を抵当権設定して実行しますが、担保になったその家は債務者が住むことができます。
質権と抵当権の違いである「引き渡しわたすか、渡さないか」がポイントです。
まとめ
銀行はコンプライアンスについて気を付けながら融資しています。
銀行融資の担保は、貸し手と借り手の双方にとって重要な要素です。担保の種類は、融資の目的や借り手の状況に応じて異なります。
借り手は、担保を提供することで融資条件を有利にする一方、返済能力を確保するために責任を持つ必要があります。
参考